時間が無い人
誰しも生ききる時間のタイムリミットがある。
後どれくらいなのか、どこにも書いてないし、誰も知ることはできない。
もしかしたら母親をショートステイに預かって貰わないといけないかもしれない、と娘さんから電話があった。
契約しておけばいつでも利用できるので、娘さんの都合の良い時に自宅で担当者会議をしましょうかと伝えていた。
「まだわからないので・・・」と言う返事だった。
しかし、その時は突然来た。
それは金曜日の午後のこと。「来週から入院になった」と娘さんから電話。
リハビリを希望されていたため、近くの老健へ連絡。
明日土曜日に担当者会議ができないかと打診するも、土日は対応不可と。
しかし向こうもベッドの空きがあるようで、客を逃したくはないのだろう。
今日であれば対応するとの返事。しかし娘さんは今まだ病院。
娘さんに何時に家に到着できるか尋ねる。
老健が6時までであれば、というところを、6時15分で妥協して貰う。
自宅に伺うと親戚の方も集まっておられ、ただならぬ雰囲気である。
娘さんから、膵臓がんであまり良くないようだと聞く。
いつ退院してきたのか知らなかったが、また娘さんから電話があり、「母を施設に入れようと思う。そうしないと無理みたいで・・・もう、時間が無いんです・・・」。
急きょ自宅へ伺う。
また親戚の方が集まっておられる。
次の受診はいつなのか聞くと、治療をするならこの日に来てと言われたようで、「もうしないことにしようと思う」と言われる。
お母さんにはここが良いと思うと言って持って行ったのは、自宅から近い住宅型有料老人ホーム。何より管理者の人間性が良い。娘さんが一番気にしていたリハビリも継続することができる。
しかし費用を聞いて「無理かな」と言われた。
どちらもケアマネは変わらない。
ここは施設ケアマネが担当する。
娘さんが、ケアマネは「変わらない方が良い」と言われる。
それぞれの特性などを説明し、すぐに親戚の方が3ヶ所見学に行かれたようだ。
夕方には電話があり、私が最初に紹介した有料老人ホームに決めるとの返事だった。
老健も空きがあり、高齢者シェアハウスと有料の中間くらいの費用にも関わらず有料老人ホームを選ばれたのは、そこの管理者と話をして預けるならここだろうと思われたのもあるだろうし、ケアマネを変えることで本人より娘さんが不安だったのかもしれない。
親戚の方が、娘さんが口が聞けるうちに本人のことを預け先に話さないと自分たちはいろいろ本人のことはわからないからと心配される。
ケアマネは親戚の方たちより本人のことを知っています言いたかったが、そういう言い方ではなく、娘さんから聞いていますし情報は持っています、どこの施設に入ってもちゃんと文書でも情報を送りますので大丈夫ですよと言い、少しでも安心して貰う。
これまで母娘2人、片寄せあって暮らしてきた。
娘の帰りを1人で待ち、娘に頼り切っていた生活から切り離され、これからは少しにぎやかなところで過ごすことになる。
また毎月会いに行く。
今年の桜は、2人の目にどんなふうに映るのだろうか・・・