愛を。

看護師ケアマネ。愛すべき利用者との関わりをちょっぴりフィクションほぼノンフィクションで。(記事の編集を随時行っています)

邪魔な人

小さい頃働く両親に代わっておばあちゃんに育てられた孫。

おばあちゃんも懐かしそうに姉妹で膝の取り合いをしたと昔話をする。

多分小さい頃は大好きだったおばあちゃん。

それが今では・・・

「施設に入ってくれたらいいのに」と耳が遠くて聞こえないおばあちゃんの前でポロリ。笑いながら・・・ちょっぴり本音?

 

担当になってしばらくして結婚して家を出た孫。

子どもができても、デイサービスへ行かない日は両親が居ない昼間に来て何かと世話をする。

病院に連れて行ったり、美容室に連れて行ったり、勿論介護保険関係のことも全て。

あんまりわかっていないかもと思いながらも、説明後に書類にもサインをするのも孫。

元ヤンキーぽい雰囲気の孫だが、素直というか笑顔が可愛い。

 

「長生きし過ぎた」「生きててもこの人達に迷惑ばっかり」「早くお迎えが来れば良いのに」「早く逝って貰ったら良いと思ってるだろう」と悔やみ事が始まると、横で聞いている孫は「また始まった。こんなことばっかり言うんです。だからデイサービスに行って欲しい。なのにすぐ休もうとする。もうちゃんと行くように言って下さい」と言う。

おばあちゃんは1人でも家で過ごせると思っているが、同居している孫の母親⇒嫁が家におばあちゃんが居るのが嫌なのだそうだ。

そういうわけで仕事から帰って来ても誰もおばあちゃんと話す人が居ないのだそうだ。

自分の息子とも、昔からほとんど会話が無いのだそう。

「それでもこの家に居続けたいのかな?」

「施設に入ったら良いのに」と孫。

この家に来るようになって5年が経つ。

少しずつ家族の気持ちが変わっていったのに、おばあちゃんだけはちっとも変っていなかった。

冷え切った関係の中で、これからも住み慣れたこの家で暮らしていく。

家族に疎まれ、邪魔者扱い。

長生きし過ぎた代償がこれなのか。

 

私の役目っていったら、おばあちゃんにデイサービスに行くようにと言って聞かせること?

行ってくれないと施設に入れられちゃいますよ!とは言えない・・・

こういった状況に出くわすと、「老いては子に従え」とはこのことかと思ってしまう。

家に居続けたいなら、子どもの言うことを聞かなければなりません!!

 

孫は「いわゆる嫁姑の問題よ」と言う。

その孫も同居している夫の親のことが嫌いなのだと言う。

親の背中を見て育つってこのことかな。

良いことばかりが受け継がれたら良いのに。

 

おばあちゃんのことがとってもストレスになっている母親の立場もわかって、間に立っている孫。

可愛がってもらったおばあちゃんのことを好きなままでいられたら・・・

 

悔やみ事を言うおばあちゃんに、この若輩者が言うことと言ったら・・・

「今ですよ、今。今を生きましょう。過去を振り返っても取り戻せないし、未来を心配しても先はどうなるかわかりません。今を少しでも楽しんで。家の中でじっとしていても鬱々するだけですよ。外に出たら気分転換になりますよ・・・」毎回こんな感じ。

これで良いのか?自分だって今を生ききれてないのに。

でも何かの、何かのヒントになって貰えたら。

 

家に執着している人は周りを困らせる。

でも今の医療・介護は最期まで在宅でと推奨する。

高齢化社会の中で、最期まで自宅に居られる人はまだまだ少ない。

どれだけ制度が充実しても、長年の家族との関係は、今も昔もそう変わらないから。

それが問題なのです。

最期まで自宅で過ごしたいおばあちゃんに、ほんのちょっとでも本人と家族の気持ちに変化をもたらすことができたなら・・・

どこかにそんなエッセンスが売ってないですかね?